現代人の日常生活を注意深く見ると、「家庭の本来の姿」をあらゆる分野にしっかりと根付かせる必要があることがすぐに分かります。現実の様々な人間関係の形態は、非常に合理的、組織的で正しいように見えますが、人々がどんどん孤独化し、見捨てられています。
又、現代社会の政治や経済の仕組みの中で、家庭はあまり重要視されていないし、そのような認識も支援も得ていません。正しく認識されていないだけではなく、もはや学びの場にもなっていないと言えます。
家庭について、聖ヨハネ・パウロ二世教皇の使徒的勧告『家庭-愛といのちのきずな』の第3部「キリスト者の家庭の役割」にも次のように書かれています。
《教会は今まさに、家庭と家庭の本来の姿に関する自らの使命の歴史的な意味を確認しています。そして神の計画において、家庭は「生命と愛の深い共同体」として造られているのですから、そのあるべき姿にますます近づく使命をもっています。(中略) 本来の姿になろうとするならば、家庭の本質と役割は愛です。従って家庭は「愛を守り、表し、伝える使命」をもっています。(中略) 先のシノドスは愛を出発点とし、たえず愛に言及しながら、家庭のもつ四つの普遍的な使命を強調しました。
① 人間共同体を作ること
② 生命に仕えること
③ 社会の発展に参加すること
④ 教会の生命と使命を分かち合うこと》
キリスト者の私たちは、「家庭の教会」とならなければなりません。それは、福音の徳が輝き、社会における善のパン種となるためです。これについて、教皇フランシスコは聖家族の祝日(2015.12.27)の「お告げの祈り」の中でこう述べられました。
「聖家族の伝統的な特徴は、黙想、祈り、互いに理解し合い、尊重し合うこと、犠牲の精神、労働、そして連帯です。(中略) 子どもたちが成長し、無償で与える愛と優しさ、相互尊重、相互理解、ゆるし、喜びを、意味深く有意義な形で体験するのは、一致した家庭の中にほかなりません。」
また、教皇は「家庭で味わう真の喜びは、成り行き任せのものでも偶然のものでもありません。それは、人々の間の深い調和によって生まれます。(中略) そして、喜びの源には常に神がおられ、皆を受け入れ、いつくしみ深く忍耐強く愛してくださいます。」とも述べておられます。
夏休みは家族のきずなが強まる時期だと言われています。どうぞ、この夏休み時期をよく利用して家族のきずなを深め強めてください。肉親の家族だけではなく精神(信仰・希望・愛)の家族のきずなをも深め、強め、広めていただければと思っています。
聖家族がすべての家庭を祝福し、守ってくださいますように。各家庭は愛をもって本来の姿になり、家庭の普遍的な使命を果たしていくことが出来ますように。