1981年2月に「平和の使者」として訪日された教皇ヨハネ・パウロ二世は「戦争は人間のしわざです。戦争は人間の生命の破壊です。戦争は死です。過去を振り返ることは、将来に対する責任を担うことです」と呼びかけられました。これを契機に、翌年、日本のカトリック教会は、広島・長崎の被爆と戦禍を思い起こすのに適した8月6日~15日までの10日間を「日本カトリック平和旬間」と定めました。

しかし、今日の日本の安全保障政策は武器による防衛力増強の傾向が強く、平和憲法が軽視され、過去を振り返るどころか、平和を求める国民の声が置き去りにされています。2022年の復活祭メッセージで、教皇フランシスコは、「どうか、戦争に慣れてしまわないでください。平和を希求することに積極的にかかわりましょう。各国の指導者たちが、人々の平和への願いに耳を傾けてくれますように。すべての戦争は全人類に影響を与え、死別や難民の悲劇、経済危機や食糧危機に至るまで様々な後遺症をもたらします」と呼びかけられました。

今年も平和旬間が、共に平和を祈り、考え、語り、行動する機会となるよう願います。ガザ、ウクライナをはじめ、世界全体の平和を祈るとき、一人ひとりは何ができるのか「霊における対話」を通して求めてみましょう。

「大阪高松教区報」6月号に紹介された「霊における会話の進め方」は次の通りです。

「『ともに歩む教会』として、シノドスが採用した決定方法は、責任者の役割や多数決ではなく、聖霊の導きを皆で祈り、分かち合い、共同で識別するという内容になっています。」

①第1段階=各自が準備の祈りの中で振り返った自分の体験から発言することに専念し、他の参加者は貴重な貢献を受け止める意識をもって、ひたすら耳を傾けます。

②第2段階=各自が自分の中に、「他者と神のためにスペースを開く」よう招かれます。再度、各自が発言しますが、聞いたことに反応したり反論したり、自分の立場を再確認するためではなく、耳を傾け聞いたことから特に感動したこと、課題を感じたことを表現するためです。傾聴から生まれる内なる足跡は、聖霊がそれと共に自らの声を響かせる言語なのです。

③第3段階=再び祈りの中で、聖霊の導きのもとに、浮かび上がった重要なポイントを特定し、共同作業の成果に関する合意を形成します。

「キリストの平和において勝利を収めましょう。平和は可能です。平和は義務です。平和はすべての人が責任をもって第一に優先するべきものです」という教皇フランシスコの呼びかけに応えて、平和旬間の準備をしましょう。