「ともに歩む教会のため―交わり、参加、そして宣教―」
~シノドスにおける三つの重要な態度~

昨年10月10日、教皇フランシスコにより「2023年10月のシノドス(世界代表司教会議)に向けての開幕ミサ」が行われました。「ともに歩む教会のため~交わり、参加、そして宣教」をテーマに、準備段階から地方教会も、ともに歩むように招かれています。

教皇は開幕ミサで、福音朗読箇所「イエスが金持ちの男と出会う」(マルコ10・17-30)を取り上げ、「キリスト教共同体が、神のなさり方に倣い、歴史の中を歩みながら人類の様々な出来事を分かち合っているかを、・・・・・・・一人ひとりが自問しよう」と呼び掛けられました。

教皇はまた、イエスが金持ちの男と「出会い」、彼の「永遠の命を受け継ぐには、何をすればよいでしょうか」という問いに「耳を傾け」、何がよいかを「識別する」手助けをしたことに注目し、シノドスにおいても、「出会う」「耳を傾ける」「識別する」という三つの態度が重要だと語られました。

「出会う」
イエスは人々との出会いを面倒に思ったり、無関心になったりせず、情熱をもって人々と向き合い、顔を見つめ、眼差しを交わし、一人ひとりの身の上を分かち合いました。私たちもまた「出会いの技術」を身に着け、シノドスを単なるイベントや論理的な考察の場にせず、何よりも主との出会い、人々との出会いを育む機会にしましょう。

「耳を傾ける」
真の出会いは、相手に耳を傾けることから生まれます。イエスは金持ちの男との出会いで、彼の存在的、宗教的な問いかけを耳だけではなく心をもって聴き、彼自身について自由に語らせました。私たちも、一人ひとりの思いに心から耳を傾け、相手を受け入れましょう。

「識別する」
イエスは出会った男が善良で宗教心があることを見抜き、単なる律法の順守を超えたところに彼を導こうとし、対話を通して彼の識別を助けます。そして、イエスは、神に心を明け渡すために、執着の対象を売り払うよう彼に勧めました。

シノドスは霊的識別の歩みであり、礼拝と祈りとみことばに触れる中で行われるものです。シノドスは教会の研究会議や政治的会議ではなく、恵みの場、聖霊に導かれた癒しの過程であるべきです。

教皇フランシスコの「ともに歩む教会のため~交わり、参加、そして宣教」との呼びかけに合わせて、私たちも祈りのうちに神に心を明け渡し、今、神が私たちに何を望まれているかを自問しながら進んでいきましょう。