カトリック教会では、10月は、神の民がとりわけ熱心におとめマリアへの愛と崇敬を表すロザリオの月です。マリア様に対する祈りの中でも、幾世紀にもわたって大切にされてきた信心としてロザリオの祈りがあります。多くの信者にとってロザリオの祈りは祈りやすい祈りであり、最も優れた祈りの一つと言えるのです。

ロザリオの祈りは、聖なることばがこもった珠を繰りながら主の祈りとアヴェ・マリアの祈りを繰り返していく祈りです。この祈りの前後に―「父と子と聖霊のみ名によって」―と唱えて十字架を切ることで、キリスト者は大昔から、神のみ名に服し、救いにあずかるのです。

毎年のロザリオの月にカトリック仁川教会の私たちは、教会で心と声を合わせてロザリオの祈りを唱える伝統があり、ロザリオ祭も行なってきましたが、今年は感染症の流行によるさまざまな制約の結果、感染拡大防止対策として共同体のロザリオの祈り・ロザリオ祭を中止することにしました。共同体としてロザリオの祈りを共に祈ることができないのは、まことに心が痛むことであり、共同体の全体にとっても残念なことですが、ご了承ください。改めて、教会でなく「家庭での個人的な祈り」という側面がなおさら大切であることを、霊的な観点から知り、互いに希望と喜びをもって祈り合っていきましょう。

教皇フランシスコは、4月25日に、すべての信者に宛てて、「聖母月に家庭でロザリオの祈りを」という短い書簡を送られました。この書簡を通して、改めて家庭(生活の場)における個人的な祈りのあり方、家庭内の祈りの素晴らしさ・大切さを見つけ直すよう招かれています。キリスト者として、公的な祈り(典礼)が重要なことは言うまでもありませんが、それと同時に、教会はいつも、洗礼の恵みを受けた一人ひとりが、自分の生活の場での個人的な祈りを大切にするよう教えてきました。私たちは神の子として生きるために、公的な祈りと個人的な祈りという2つの肺で、絶えず呼吸するよう促がされているのではないでしょうか。ですから、共同体の皆と共に唱えることも、独りで唱えることも、どこでも、どちらの機会も最大限に活用して、状況に応じて祈ることができます。

兄弟姉妹の皆様、改めて、自分の生活の中で、家庭(生活の場)における個人的な祈りをどのようにしているのかを振り返る機会にしましょう。ロザリオの祈りを通して私たちの母マリアの心でキリストのみ顔を共に観想し、神のみ旨を生きることを生活全体(言葉や行い)に大切にし、繰り返し、身につけていきましょう。感謝と祈りを込めて!