COVID-19 のパンデミックの嵐も過ぎ、希望的観測を抱き始めた皆様も、今までの出来事を振り返りながら、新しいことに挑戦されていることと思います。私たちは古い習慣の鎖を断ち切り、よりふさわしく心を整え、新しいことに挑むために、どんな新たな道を歩むべきでしょうか。前に進み、世界をより良い共同体にするために、どのような方向性をもって生きるべきでしょうか。
コロナ禍が残した最大の教訓は、私たちは皆、互いを必要としているという気づき、皆、等しく神の子どもであることに基づく兄弟愛への気づき、そして、誰も他の人との関わりなしに救われることはないという気づきでしょう。
コロナ禍の教訓によって、私たちは個人としても共同体としても、個人主義や消費主義的な欲求を切り捨てて、利己心を克服するよう促す連帯感を新たにし、他者の苦しみと困窮に心を開くべきであることを再確認できるでしょう。「皆で・・・共に」という精神を改めて中心に据えていきたいのです。平和を築き、正義を守り、悲惨な出来事を乗り越えるには、共にあること、兄弟愛と連帯のあることが必要です。平和への道を作るために、個々の利害や宗派などを越えて、一致団結しなければなりません。兄弟姉妹を中心におくことによって、私欲のない愛から生まれる平和こそが、個人の、社会の、世界の危機を克服できるのです。
コロナ禍のピークは一旦過ぎたと思われますが、ウクライナでの戦争をはじめ、世界各地での紛争などのあらゆる惨劇は、広く無差別に世界中で多くの罪なき命を奪い、恐怖を増幅させています。コロナのワクチンは開発されましたが、戦争終結のための有効な解決策はまだ見つかっていません。
今こそ、キリスト信者の私たちは、共に祈ることをはじめ、共通善を念頭において共同体意識をもって行動していきましょう。今こそ、私たち全員で、世界平和のために祈り、この社会と地球の治癒に、より真剣に共通善に取り組む時です。格差、不正義、貧困、排斥が拡大し、不安や対立をしばしばあおり、暴力や戦争までも引き起こしている世に、互いに責任と思いやり、神の無限のいつくしみの愛に触れて生まれる利他的希望をもって、新しい世界を築き、愛と正義と平和の神の国の建設に寄与しましょう。
平和の元后である聖母マリア、「平和と善」のうちに生きたアシジの聖フランシスコ、友に命を捧げた聖マキシミリアノ・マリア・コルベの取り次ぎによって、共に祈り、平和への道を歩んでいきましょう。