今月中に東京オリンピックの閉幕とパラリンピックの開幕が行われます。シンボルであるオリンピックマークは、世界を構成する5つの大陸が重なり合っている大会、世界中で連帯し繋がっている大会であることを表しています。そして、5つの色には多様性と自然現象、スポーツの大原則という意味があるのでしょう。

私たちの社会は競争社会だと言われていますが、多様性と文化交流によって豊かになる「カラフル」な未来に向かっています。ですから、私たち一人ひとりは今からでも心身共に新たにして、受け入れ合いと平和のうちに「共生性」を再確認しなければならないでしょう。

日本のカトリック教会は、1982年より毎年8月6日から15日までの10日間を「日本カトリック平和旬間」と定めました。この期間は特に「平和を祈り、平和を考え、平和について語り、平和のために行動する機会になること」を願っています。

今年の「世界平和の日」(2021年1月1日)のメッセージの中に、教皇フランシスコは「平和への道のりとしてのケアの文化」というテーマを挙げました。このメッセージでは、教皇は2020年から新型コロナウィルス感染症による「愛と連帯の数多くのあかしの傍らで、悲しいことに、さまざまな形のナショナリズム、人種差別、外国人嫌悪、さらには死と破壊をもたらす戦争や紛争が、新たに勢いを増していることを、残念ながら認めざるをえません」と述べています。この悲しみを認めた上で、私たち小教区の一人ひとりは平和の人になるために具体的にどうすればよいでしょうか。

私たちが平和旬間の原点を思い巡らしながら、戦争を振り返るのも大切なことですが、身近な人々の状況を把握し、兄弟姉妹としてすべての人と共に生きることが何より必要ではないでしょうか。「誰も置き去りにしない世界へ」とは、今年の「正義と平和協議会」全国大会のサブテーマです。「誰も置き去りにしない世界」を目指すのであれば、まず身近な人々に目を向け、その人たちと連携し繋がっていかなければならないでしょう。

「戦争はダメだ」「核兵器や原発は廃止すべきだ」などと求める前に、家族、友人、近隣・小教区の人々と「共に生きること」や平和を築く努力をしましょう。「平和の道具」になるためには、すべての人々と共に生きながら、怒りではなく祈りという平和の息吹を手立てとするべきでしょう。

私たちの中にある怒り、ネガティブな思いを消し去り、微笑み、祈り、調和をもって平和旬間を通して平和を学び、身近な人々を置き去りにしないで平和の人となりましょう。