1945年に太平洋戦争が終わってから今年で75年になります。日本カトリック平和旬間は8月6日から15日です。大阪教区の平和旬間テーマは2020年の教皇フランシスコの世界平和祈願日(1月1日)のメッセージに基づいて、「平和、それは希望の道―対話、和解、エコロジカルな回心―」にすることが決まりました。

昨年教皇フランシスコは被爆地の広島で「私は平和の巡礼者として、この場所を訪れなければならないと感じていました。激しい暴力の犠牲となった罪のない人々を思い出し、現代社会の人々の願いと望みを胸にしつつ、静かに祈るためです。特に若者たち、平和を望み、平和のために働き、平和のために自らを犠牲にする若者たちの願いと望みです。私は記憶と未来にあふれるこの場所に、貧しい人たちの叫びも携えて参りました。貧しい人々はいつの時代も、憎しみと対立の無防備な犠牲者だからです」と述べられました。このことばを思い起こしながら平和旬間を新たな気持ちで過ごしましょう。

今年は新型コロナウイルス禍と大雨の影響で多くの兄弟姉妹が不安のうちに過ごしています。また、多くの家庭も国家も不安と混沌のうちに過ごしています。今年の平和旬間に当たり、年間第19主日のマタイ福音書14章27節には「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」と書いてあります。

この福音箇所の背景は、イエスが一人で祈るために弟子たちと一緒に行かずに、彼らを強いて舟に乗せ、向こう岸へ先に行かせました。しかし、突然の逆風に襲われ、危うく転覆しそうになりました。その時、イエスは近づき、「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」と声を掛けました。

この話は象徴的な物語であり、湖に逆巻く大波は、私たちの人生に突然襲い来る予期しない課題、難題、難問、試練の例えです。私達が押しつぶされ、飲み込まれそうなプレッシャー、ストレスのことと考えるとこの物語はにわかにとても現実味が出てきます。

現代社会に生きる私達は自分の知恵や力や経験などを頼りに努力し、工夫を重ねて日々を過ごしていると思いますが、苦難が逆巻く時には、私たちも弟子たちのように神に向けるのではなく、自分にばかり向ける傾向があるでしょう。イエスを信じるより、弱い人間の力に頼りがちです。

世界・各家庭と各自の上に平和があるように堅い信仰をもって平和の女王である聖母マリアと「平和と善」を生きたアシジの聖フランシスコの取次ぎによって願い求め続けましょう。