復活節に入り、「アレルヤ」を歌う喜ばしい季節になりました。

神の被造物である人間は、常に旅をしています。その旅は、神が永遠におられる故郷、天国への巡礼です。この巡礼では、人々は喜び・哀しみ・苦しみなどの経験を通して、良い道を選択し極めていくことができます。ただ、人間が自分の力だけで人生の目標を達成することはできません。聖母マリアに倣い共に歩むことと、聖母と諸聖人の執り成しが必要です。

「喜びの神秘」、「光の神秘」、「苦しみの神秘」、「栄の神秘」を通して聖母マリアの生涯を黙想すると、喜びばかりではなく、多くの苦しみの中に過ごされたことを知ることができます。特に十字架の下に立ったマリア、深い沈黙の中で聖土曜日を過ごしたマリアを思い巡らすと、悲しみや恐れの闇の力に屈することなく、決して愛することをやめず、いつくしみの炎を灯し、祈りと希望のうちに主を信頼される姿が浮かびます。

2025年の通常聖年公布の大勅書 『希望は欺かない』 第24項に、教皇フランシスコは次のように書いています。

「神の母は、希望のもっとも偉大なあかし人です。このかたを見ると、希望は中身のない楽観主義ではなく、生の現実の中の恵みのたまものであることが分かります。…ですから十字架のもとで、無実のイエスが苦しみ死ぬのを見ている間、すさまじい苦しみにありながらも、主に対する希望と信頼を失うことなく、『はい』と言い続けたのです。…そして、愛をもってささげられた激しい苦悩にさいなまれる中で、わたしたちの母、希望の母となられたのです。民間の信心の中で、聖なるおとめマリアが『海の星(ステラ・マリス)』と呼ばれているのは偶然ではありません。この称号は、人生の荒波の中にあるわたしたちを、神の母は助けに来てくださり、支えてくださり、信頼をもって希望し続けるよう招いてくださるという、確かな希望を表しています。」

人生で、痛み、苦しみ、恐れに遭っても、神も聖母マリアも私たちを独りにされず、見守ってくださいます。たとえ、私たちが弱く、よろめき倒れても、助けを求めている私たちを、立ち上がらせてくださいます。

今月は、特に聖母マリアの生涯を思い、その生き方を見倣って過ごしましょう。そして、「希望の巡礼者」として「信仰・希望・愛」を新たにし、置かれているところで聖年の花を咲かせて、神に捧げて過ごしていきましょう。