近年、日中関係は政治・社会のさまざまな局面で厳しさを増し、互いの不信や緊張が高まっています。国際情勢は、私たちの日常の感情や対話の姿勢にも少なからず影響を与え、心に見えない壁を築いてしまうこともあるでしょう。このような状況の中で、主イエスの降誕祭と新年を迎えようとしています。今年のクリスマスは、私たちに改めて「平和とは何か」「隣人とは誰か」を深く問いかけています。
クリスマスを祝うことは、遠い昔の出来事を思い起こすことだけではなく、飼い葉桶に眠る幼子イエスのうちに示された「神は私たちと共におられる=インマヌエル」、「平和の子」というしるしを私たちの心の中に蘇らせることです。「平和の子」として生まれた主イエスは、深い闇の中で輝く真の光です。この光は、敵意や恐れ、偏見や憎しみを超えて、すべての人を包み込む神の愛を示しています。イエスは、日本や中国だけでなく多くの国籍や文化、言語の違いを越えて、すべての人を「平和の子」として大切にされました。
クリスマスを祝う私たちは、現代の世界に神の愛と平和を証しする使命を託されています。政治の緊張を私たち個人が直接に変えることはできないかもしれません。しかし、敵対や不信が語られる時代に、小さな和解の態度、尊敬の眼差し、誠実な対話を通して平和の種を蒔き、育てていくことができます。「平和の子」として生きる私たちは、優しさと赦しを選び、人々に寄り添うことを意識して、隣人愛をもって生きてゆきましょう。中国の人々も、私たちと同じように、家庭・いのちを大切にし、平和を願い、幸せを求めて生きている隣人です。クリスマスの心は、分断ではなく、「橋を架ける力」へと私たちを招いています。
そして、まもなく新年を迎えます。私たちの歩みには、まだ見えない課題や戸惑いが残されているかもしれません。しかし、神は決して誰かを置き去りにせず、新しい一年にも希望へと向かう道を備えてくださいます。信頼と希望をもって新しい年を迎え入れましょう。
神が、固く閉ざされた心を柔らげ、恐れを希望へ、不信を理解へと変える恵みを注いでくださいますように。そして一人ひとりの言葉と行いが、平和をつくる一歩となりますように。主の平和と祝福が、すべての人に、また日中両国の上に豊かにありますように。聖母マリアと聖ヨセフの取り次ぎによって祈りながら「平和の使者」として生きましょう。
最後になりましたが、2025年も、公私にわたり、祈り、協力し、支えてくださった皆さまに心から感謝申し上げます。そして、主の喜び、平和と恵みが皆さまの心に深く宿り、日々の生活の中で神の愛を証しすることができますようにお祈りいたします。2026年も引き続き、どうぞよろしくお願いします。
