現代の家庭は、どんな共同体よりも、社会と文化の急激な変化のあおりを受けています。また、今日の家庭が数多くの力によって壊されたり、ゆがめられたりしながらも、社会の幸福と善が家庭の幸福と密接に結ばれています。このような状況の中でキリスト者の各家庭は何をしなければならないでしょうか。

キリスト者の各家庭は、改めてナザレの聖家族を見倣って、家庭の召命と使命を思い起こして実践しなければならないと思っています。

イエスは、ナザレという地に30年間住んでいました。ルカ福音記者は、この期間のことを「両親であるマリアとヨセフに仕えてお暮しになった」と書いています。イエスの救いの計画、道はその家庭の中にありました。そして「母はこれらのことをすべて心に納めていた。イエスは知恵が増し、背丈も伸び、神と人に愛された」(ルカ2・51-52)。父は大工として働き、息子に働くことを教えました。

ナザレの聖家族は当時のイスラエルの家族の習慣に従い、普通に過ごしたでしょう。その聖家族はうわべだけの家庭でも、架空の家庭でもなかったでしょう。どんな状況におかれたとしても、聖家族に、互いに受け入れ合い、話し合い、尊重し合っていたはずです。

キリスト者の各家庭は、何よりも、マリアとヨセフが行ったようにイエスを受け入れたり、イエスに耳を傾けたり、イエスと話したり、イエスを保護したり、イエスをかばったりしなければならないでしょう。そうすることによってイエスと共に成長することができます。それにより、自分の家庭も周りの家庭も社会も、より良くなります。

聖家族は、各家庭の召命と使命を再び見い出すよう私たちを招いています。この30年間にナザレで行われたことを、私たちも常に行っているかも知れませんが、さらに心を込めて行うことができます。それは、常に愛するよう努め、憎まないようにすること、そして無関心になったり敵対したりせずに、いつも助け合い、ゆるし合うことです。

神はこの世、人類を救うために来られます。そして、イエスが来られる場をもうけることで、イエスが家庭の中に生まれ、成長していきます。家庭の中にイエスを、他の成員を受け入れ、迎えることが、家庭の大きな使命です。どうぞ、各家庭の中で霊的にイエスが育成するようにイエスを受け入れてくださいますように。聖マリアと聖ヨセフの取次ぎによって、主が私たちに「受け入れ合う心」と多くの恵みを与えてくださいますように。

主よ、すべての家庭を祝福し、災いから守ってください。親子、兄弟姉妹の一致のうちにあなたの愛が表されますように。